二世帯住宅で相続税対策

B!

平成25年度税制改正で相続税が増税されることは皆さんご存じでしょうか。

相続税の基礎控除というものがあります。

実は、相続した財産すべてに税金がかかるわけではありません。

相続財産の評価額の合計から基礎控除の額を差し引いたものが課税対象になるのです。

例えば、現行(平成26年度まで)は次のように計算されます。

(A)相続財産評価額 (B)基礎控除額(法定相続人が3名の場合) 課税対象(A-B)
1億円 5,000万円+(1,000万円×3名) 2,000万円

課税の対象となるのは2,000万円となりますね。

しかし、平成25年度税制改正で、平成27年1月1日以降の相続から基礎控除額が大幅に引き下げられました。

どのようになるか、現行と比較してみましょう。

相続が発生した時点 (A)相続財産評価額 (B)基礎控除額(法定相続人が3名の場合) 課税対象(A-B)
~平成26年12月31日 1億円 5,000万円+(1,000万円×3名) 2,000万円
平成27年1月1日~ 1億円 3,000万円+(600万円×3名) 5,200万円

実質的に大幅増税となることが分かりますね。土地や建物の資産を多く持っている富裕層の法定相続人にとっては、かなり厳しい内容です。

では、どのように節税したらよいのでしょうか。一つは、「住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置」を利用した贈与が挙げられます。ただし、非課税分は平成25年度で最大1,200万円に留まります。

そうすると打つ手はないのでしょうか。実は、「小規模宅地等の特例」により相続財産の評価額を圧縮することができるのです。

「評価額」を「小規模宅地等の特例」により引き下げる

小規模宅地等の特例をすでにご存知の方もいるかも知れません。親から住宅を相続する場合に、子供が「同居」しており「持ち家が無い」場合に、評価額を2割まで圧縮することができるという特例です。

例えば、相続財産の評価額1億円の330㎡の家・宅地を持つ場合、評価額は次のように圧縮できます。

相続する宅地の規模 適用上限 適用前評価額 評価額
330㎡ 240㎡まで 1億円 1億×240㎡÷330㎡×(1-0.8)+1億×90㎡÷330㎡=4,181.8万円

この評価額から基礎控除額(5,000万円+(1,000万円×法定相続人数))を引いた額が課税対象額となります。

ただし、税制改正後の基礎控除額だと、法定相続人が1名の場合は不利になってしまいますね。その点を踏まえ、この「小規模宅地等の特例」も今回の税制改正により、平成27年1月1日以降の相続から拡充されます。

小規模宅地等の特例その1

まず、適用上限が330㎡まで引き上げられました。次のような計算となります。

相続する宅地の規模 適用上限 上限引き上げ前評価額 引き上げ後評価額
330㎡ 330㎡まで 4,181.8万円 1億×330㎡÷330㎡×(1-0.8)=2,000万円

この評価額から基礎控除の定額分3,000万円を差し引いただけで、課税対象額はゼロになります。
税制の改正以前と比べて不利にはなりませんね?

小規模宅地等の特例その2

上記に加えて、被相続人(親)との「同居」という面での改正があります。

パターン 詳細
子が同居している場合 通常の二世帯住宅だけでなく、玄関が別になっている「完全分離型」の二世帯住宅も対象に
相続の後(親の死亡後)に子が住む場合 相続前の3年間に(自分の又は配偶者の)持ち家に住んでいないことが条件

上記のように、生活空間が分離されている二世帯住宅の場合でも「小規模宅地等の特例」を受けることができるようになりました。

この場合、「住宅取得資金の贈与の特例」を活用し、親から子へ贈与を行った上で、建築資金として充て、資金の負担割合に応じて「共有登記」にすれば、相続財産を圧縮することもできますね。

「共有登記」の場合は、「小規模宅地等の特例」を受けられると解釈されていますので、随分と相続税を軽減することができますね。

ただし、「区分登記」をした場合にも節税メリットもありますので、まずは専門家に相談してくださいね(^_^;)

相続税で大切な資産を手放すのは避けたい方は、相続を見越した二世帯の注文住宅を考えてはいかがでしょうか。

最新の記事はこちらから