ベニヤ板(合板)のフローリングは10~15年しかもたない?
今ではほとんどのお家の床がフローリングとなっていますが、実は耐用年数が短い可能性があることはご存じでしょうか。
日本の住宅でフローリングに使われている建材は色々な種類がありますが、木質のものであれば、無垢材とベニヤ板(合板)に分けられます。
特にベニヤ板(合板)は、コスト面や加工性に優れているため広く利用されていますが、耐久性は高くなく10~15年で張り替えが必要と言われます。その理由は以下の通りです。
1. 水や湿気に弱い
ベニヤ板は木材の薄い層を接着剤で貼り合わせた構造であり、湿気や水分の影響を受けやすい特徴があります。湿度が高い場所や水がかかりやすい場所での使用では、ベニヤ板が膨張・収縮し、接着部分が剥がれて強度が低下する可能性があります。特に水漏れや結露があると、フローリングが浮き上がったり、カビが発生することがあります。
2. 接着剤の劣化による層剥離
ベニヤ板の層を固定するための接着剤が経年で劣化すると、層の間で剥離が発生し、フローリングの強度が低下する可能性があります。特に、安価な接着剤を使用したベニヤ板は、温度や湿度の変化に弱く、層間剥離が起こりやすくなります。
3. 耐久年数の限界
頻繁に歩くエリア(階段下、部屋の出入り口等)では摩耗が進みやすく、数十年単位での使用を想定すると、劣化が目立ちます。劣化が進んだ状態では歩くと、軋みや足が沈むようになり、最悪は穴が開きますので、大変危険になります。
本事例で問題となっていたのは、やはり階段下や部屋の出入り口の部分でした。長年の使用により、歩くと、足が沈むような状態であり、家主様も大変気にされていました。
本事例では、補強工事を行った上で、重ね張り工法でリフォームしました。
重ね張り工法は、強度が高いが、工期は短く、費用負担は軽くなる
まず、床の補強をしていきます。本事例では、重ね張り工法を採用していますが、床の補強なしに重ね張りをした場合、再び足が沈むような問題が起きかねません。
このように、実際足で確かめながら、劣化が進んでいる部分を、補強していきます。
そして、新しい床材を既存の床材の上に貼っていきます。既存の床を残しながら床を貼るため「重ね張り工法」と呼ばれるのですね。
重ね張り工法のメリットとデメリット
そもそも、フローリングのリフォームには2つの工法があります。
1つはフローリングを完全に剥がして、新しいフローリングを貼る方法です。もう一つは、重ね張り工法です。
重ね張り工法のメリットは、既存のフローリングを剥がさないためゴミの処分費が不要になることです。
また、剥がすための工賃も抑えることができるため、全体的に費用は圧縮できます。つまるところ、工期も大幅に短縮するこが出来、1dayリフォームも可能です。
もう一つの大きなメリットは、床の強度が上がることです。勿論、床の補強をすることが前提ですが、合板が2重となるため、その分厚みが増え、重量に耐えることができるようになります。
上記だけであれば、正に最強の工法と言えますが、デメリットもないではありません。
ご想像の通り、フローリングを重ねる分、15mm程度床が持ち上がることになり、段差が生じる可能性があります。これは、お家の状況次第ですが、最近では重ね張り工法のためのリフォーム資材も用意されていますので、このデメリットを回避することができるようになりました。そのため、重ね張り工法は現在、非常に有効な工法になっています。
実際に、この写真で見ると段差が気になるところはありません。