川口でも起きる大雨被害とできる対策とは

近年、各地で短時間で大量の雨が降る影響によって多くの水害が発生しています。

住宅の浸水や土砂崩れ、大きな河川の氾濫が起き家ごと流されてしまったり、それによって亡くなった方もいらっしゃいます。

こういった大きな災害だけではなく、日常の中でも雨によって住宅にもたらされる被害も多くあります。

すでに家を建てて住んでいる方も、これから家を建てることを検討している方にとっても、決して他人ごとではありません。

ここ数年で、日本の気候は大きく変わってきており、都市部でもゲリラ豪雨が多く起こるようになってきました。様々な対策を講じていても、毎年のように水害が起きる可能性は否めません。

ここ川口市でも大雨による荒川、芝川(見沼用水路)の氾濫が昔から大きな問題となっています。また、元来田園地帯だったことから、地盤が緩い地域や海抜が低い地域が多く、大雨による浸水被害が実際に起きています。

川口市内に家を持っている人も、これから持とうと考えている方も、各自での対策を取ることが重要ではないでしょうか。

ここでは、雨が住宅に及ぼす悪影響と、それに対する対策についてまとめてみたいと思います。

雨が住宅に及ぼす影響

まずは、雨によって住宅や、その環境によってもたらされる悪影響についてまとめてみましょう。

命には関わらない影響

  • 結露
  • カビ
  • 洗濯物の生乾きのにおい
  • 雨漏り

雨が多く降る季節になると、様々な不快なにおいや湿気に悩まされる方も多いのではないでしょうか。

私も家庭で主に家事をすることが多いのですが、毎年この悩みを抱えています。特に床のべたつきと、洗濯物の生乾き臭が気になって仕方ありません。

これらの原因には、家の「換気」が大きくかかわっています。

換気の悪さは窓の結露を生じさせたり、室内にカビを発生させる原因となり得ます。

お風呂などの水周りだけではなく、寝室やクローゼットなど、空気がこもりやすい場所でカビは繁殖していくのです。

いずれの現象も人命には影響ありませんが、生活には大きな影響を与えます。

TIPS
結露については、外気温と内気温の温度差によって生じますので、内窓を設置することで軽減することが可能です。内窓は、防音・防犯・断熱にもなりますので、安価でできるリフォームとしておススメです。

命に関わる影響

  • 浸水
  • 土砂崩れ
  • 河川の氾濫で流される

家を建てる、もしくは建てた土地が周辺の土地や川よりも低い場所に位置していたり、河川がすぐそばにある立地は雨による災害の影響を多く受ける可能性があります。

大雨による浸水や、河川の氾濫による浸水、最悪の場合家ごと流されてしまう危険があります。

また、家のすぐ近くに山や崖などがある場合、雨で地盤が弱くなり、土砂崩れに巻き込まれて家屋が倒壊するリスクがあります。

家の被害だけで済めばまだいいですが、いずれも発生する時間帯や状況によっては命の危険があります。

TIPS
ここ川口市でも、2019年に上陸した台風19号により浸水した地域がありました。特に見沼用水路や芝川に近い地域に関しては被害が大きかったようです。

このように水害は非常に恐ろしいものですが、すでに家を持っているか、これから建てようとしているかで、やるべき水害対策もできる水害対策も変わってきます。

ここからは、家を建てる前と、すでに建てた後の二つに分けて水害対策をご紹介したいと思います。

家を建てる前にできる対策

①ハザードマップの確認

ハザードマップは、各自治体が公表している災害予測図で、水害、地震、土砂災害などの自然災害を想定した被害範囲や避難経路、避難場所を地図で表しています。

家を購入する上で一度は見ておきたいものです。

実際にこのハザードマップの浸水想定範囲と、実際の浸水箇所がほぼ一致していたという報告もあるため、一定程度信用できる情報です。

川口市 荒川洪水浸水想定区域図/荒川洪水浸水想定区域図(浸水継続時間)より

もし地図の情報だけでは不安ということであれば、ハウスメーカーや不動産屋さんに確認してみましょう。

周辺で物件を多く取り扱っている会社であれば、ハザードマップには書いていないような情報を持っている可能性もあります。

一番良いのは古くからの住民に聞くことです。知り合いがいるのであれば一度は確認した方がよいでしょう。

②古地図(地盤)の確認

インターネットで現在の地図と古地図を比較できるサービスがあります。例えば、「今昔マップ on the web」では、非常に簡単に比較が可能です。

時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」より

よく沼や川がついている地域はやめておけと言われますが、古地図をみればなぜそのような名前がついているのか地名の由来が分かります。沼や川でなくても田園地帯だったり、川の支流があったりすることもあります。

このようにかつて沼や川、海だった場所を埋め立てている場合、地震発生時に液状化現象のリスクがあること、地盤が弱いため水害で家屋が流されてしまうリスクがありますので、実際に地盤調査をするなどの段階になる前にぜひ確認してみてください。

③平屋ではなく2階建て以上の建物を建てる

ここ川口市でも起きている浸水被害の対策として非常に有効なことは、2階建て以上の建物を建てるということです。

万が一家屋が浸水してしまった場合、2階建て以上の建物であれば1階部分が浸水しても上の階に一時的に避難することが可能だからです。

一方、平屋の場合は逃げられるのは屋根のみで、その高さも2階建てより低いため、避難経路が確保しにくくなります。更に、一度浸水すると水が引くまでそのお家での生活がままならなくなります。

高齢の方は特に、バリアフリーという観点で平屋の家を建てることがありますが、水害時に命の危険がありますので、浸水の可能性がある地域かどうかは事前にしっかりと見極めたいところです。

④高床式にする

基礎部分を通常よりも高くすることを高床式と言います。

コンクリートで作る基礎を高めにすることで、床上浸水を防ぐことが可能です。

また、高床式は水害対策だけではなく、湿気対策にも有効です。

湿気の多い東南アジア諸国では多く取り入れられている様式で、日本でも弥生時代から普及しています。

⑤盛り土をする

周辺のよりも低い場所にある土地の場合は周辺よりも浸水の可能性が高まるため、敷地に土を盛って高さを作る盛り土という対策がよく取られます。

ただし、地盤が弱い土地で盛り土をすると、その重さで地盤沈下してしまうリスクがあったり、工事費もかさんでしまいます。

事前に地盤の調査や費用の確認をよくしておきましょう。

⑥建物防水

外壁に耐水性のある塗装をしたり、防水性のある建材を使用して、内部への浸水を防ぎます。

災害以外にも、建材の経年劣化を防いだり遅らせる効果があるので、外壁の修繕の負担を減らすことにもつながります。

家を建てた後にできる対策

すでに家を所有している場合、上で書いたような根本的な対策は難しい状況です。

しかし、後付けでも水害に備えてできる対策はあります。

①土のうや水のうを用意する

土のうとは、布袋の中に土砂を詰めたものを指します。

水害の危険が迫ってから土のうを準備することは難しいですが、事前に準備しておくことでいざという時に活用できます。

ここ川口市でも土のうを配布してますので、是非ホームページをチェックしてみて下さい。なお、実際の提供場所は消防署になります。

ただし、デメリットも勿論あります。土のうはすでに土が詰まった状態で保管するため、かなり場所を取ります。平時から用意しておくのはかなり難しいでしょう。

そこで活躍するのが水のうです。

水のうは大きめのゴミ袋に水を入れることで、土のうと同じような効力を発揮します。

大きめのゴミ袋を二重に重ねて水を入れ、空気を抜いて口を縛れば完成です。

実際に水のうを玄関付近に隙間なく敷き詰め、それ以上奥への浸水を防げた事例もあります。

土のうよりも衛生面も安心なうえ、中身が水で形が変わるため、女性の力でも隙間なく敷き詰めることができるというメリットもあります。

また、トイレやお風呂、洗濯機の排水溝やキッチンの排水溝に水のうを置くことで、下水の逆流を防ぐことも可能です。

45など大きめのゴミ袋を常に多めにストックしておくと、いざという時にすぐに対処が出来そうですね。

ただし、土のうよりも水に流されやすいというデメリットもあるので、土のうよりも量が必要だと認識しておいた方が良いでしょう。

②防水板、止水板を設置する

土のうは重すぎて、積むのにも時間がかかるし、体力的にもきついという方もいらっしゃいます。

以前はマンションやオフィスなどに活用されていた防水板や止水板を、戸建て住宅に活用するケースも増えてきています。

アルミパネルで軽く、設置もスピーディにでき、収納もコンパクトにすることが可能です。

半地下のガレージの前や、玄関前などに設置することで浸水を防ぐことができます。

河川が氾濫する可能性がある地域や、以前に水害に遭われた方は、購入を検討してみても良いかもしれません。

自治体によっては止水板購入のための補助金を出してくれるケースもあります。例えば、朝霞市では「止水板設置費補助金制度」というものがあります。確認してみましょう。

③窓の安全確認

水害が発生するような豪雨や台風の時には、強風が吹く可能性もあります。

物が飛んでくる危険性を考え、窓ガラスに飛散防止フィルムを張っておくと安心です。

飛散防止フィルムは窓ガラスが割れることを防ぐことはできませんが、万が一割れたときに室内にガラスの破片が散らばってしまうのを防止できます。

怪我の予防にもなりますし、日常では空き巣対策にもなります。

④飛散の危険性があるものを屋外に置かない

③で触れた通り、強風で外のものは飛ばされてしまう危険性があります。

ベランダや庭に、大きな植木鉢や置物を置いておくと、それが飛んだり倒れたりすることで自宅の窓を割ってしまったり、隣家に直撃してしまう可能性があるため危険です。

日ごろ置いておくのは良いですが、悪天候が予想されるときは室内に入れるようにしましょう。

⑤自宅周辺のチェック

下水道の側溝や排水溝に落ち葉やゴミが溜まっていませんか?

排水溝が詰まっていると雨水が流れずにあふれてしまい、自宅が浸水してしまう可能性があります。

日ごろからチェック、清掃をしておきましょう。

また、庭木がある場合は伸びすぎていないか、電線に触れそうではないかをチェックしてください。

強風で木が折れたり、揺れたりして電線を切ってしまうと、停電の原因となります。

電線が切れてしまうと復旧までに時間がかかるので、近所に迷惑をかけないためにもよく管理しておきましょう。

⑥太陽光発電

水害発生時に停電が起きても、太陽光発電のインバーター機能が使える状態であれば自家発電が可能です。

水害が発生する時期は暑い時期が多く、熱中症の危険と隣り合わせです。

太陽光発電があることによって、エアコンや冷蔵庫などの家電を使うことができるので、災害対策として有効と言えるでしょう。

太陽光発電は家の建築後でも取り付けが可能なので、導入を検討してみても良いかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここでは主に命に関わる水害の対策についてまとめてみました。

この数か月間の間にも河川の氾濫や大雨による水害が多数発生しています。

決して他人ごとではないため、ご自身のお住まいの場所、またはこれから家を建てようと検討している場所の事をよく知り、適切な対策をしておきましょう。

また、家の対策も重要ですが、最も大切なことは命を守ることです。

氾濫予想水位が大きく、命の危険を感じるときは、迷わず非難することを選びましょう。

そのためにも自宅付近の避難場所、そこまでの避難経路を確認、認識しておくことも大切です。

また、食料、飲料水などの備蓄品もそろっているか、改めて確認しておきましょう。

備えあれば憂いなし。ぜひ今一度ご自宅の水害対策について見直してみてください。

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