今のキッチンが
- 暗い、狭い、とにかく使いにくい!
- 子供、家族の顔が見えない!
- 収納スペースが少ない!
キッチンの向きを変えるリフォームを検討する方は、上記のような不満を抱えている場合が多いようです。
このページでは、このような不満を抱える方々に向けて、キッチンの向きを変えるリフォームの方法や費用などについて紹介していきたいと思います。
目次
キッチンの向きを変えるパターンは限られている
キッチンの向きを変えるリフォームのパターンは大きく言うと以下の3つです。
- 既存のキッチンを90度回転させ、効率的な生活導線に変更する。また、パントリーや収納棚を増設して、収納を増やす。
- 壁付けキッチン(クローズキッチン)を対面式キッチンに変え、リビングを見渡せるようにしたり、配膳の作業効率を上げる。
- 2とは逆に、対面式のキッチンを壁付けキッチンに変更することで、キッチンを省スペース化しリビングのスペースを最大限に生かす(ただし、ワークトライアングルを考慮しないと作業効率が下がってしまう)。
このように、既存キッチンの向き変更と、別タイプの新しいキッチンへの変更があります。
両者ともにメリット、デメリットがありますので見ていきましょう。
既存のキッチンの向き変更は安く済むが耐用年数と破損に懸念あり
既存のキッチンの向きを変えてそのまま使い続けるパターンの最も大きいメリットは、言うまでもなくリフォーム費用を抑えられるということです。相場は約50万円~150万円です。
一方で、以下の2点には注意が必要です。
- 耐用年数
- リフォーム時の破損
キッチンの耐用年数については、金属製のもので概ね10年~15年と言われています。
そのため、耐用年数間近のキッチンを使いまわした場合、すぐ壊れてしまうというリスクは否めません。そして、壊れた場合、新たにキッチンを設置しなおすと50万円~150万円の費用となります。
耐用年数間近のキッチンであれば、新しいものに交換する方が、長い目で見て費用を抑えられる可能性があると言えます。
破損のリスクもあります。
既存キッチンの設置状況によっては、リフォーム工事中にシステムキッチンが壊れてしまう可能性も否めません。既存のキッチンを使いまわすことに難色を示すリフォーム業者が多いのはこれが理由です。
キッチンを新しくする際は高さや幅・奥行、収納力を考慮したい
では、キッチンを新しくする場合のメリットやデメリットはどうでしょうか。
メリットは、リフォームの目的にあったキッチンを選ぶことができることが1点、そして収納力や作業性に優れたキッチンを選ぶことができるという点が2点目に上げられます。
一方でデメリットとしては、やはり既存キッチンを使いまわすケースに比べてお値段が高くなりがちだということです。概ね100万円~200万円が相場となります。
更に、新しいキッチンを導入する際は一般的にいくつかの点で気を付ける点があります。
ワークトップの高さ
キッチンの高さが自分の背丈と合わないと、調理がしにくいだけでなく、腰痛や肩痛の原因にもなります。
日本工業規格(JIS)では、キッチンのワークトップを800mm、850mm、900mm、950mmと定めています。
このワークトップですが、身長(cm)÷2+5cmで計算すると目安が大体の目安が分かります。
150cmの方ではおおよそ800mmとなりますね。更に、キッチンに立つ際は履物を使用する方も多いため、履物の高さも考慮に入れることが望ましいです。
通路の幅
料理する人数が1人なのか、2人なのかによって必要となる通路の幅が変わります。1人であれば概ね1m、2人であれば1.2mくらいの余裕は持ちたいところです。
収納力
収納スペースが従来の開き扉タイプのキッチンでは、収納力は低いですが、最近のシステムキッチンに採用されている引出しタイプであれば格段に収納力は上がります。
キッチンの向きを変えるリフォームの費用は?
上記をまとめますと以下のようになります。
リフォームのタイプ | 費用相場 |
既存キッチンの向き90度回転 | 50万円~150万円 |
対面式キッチン←→壁付キッチン | 100万円~200万円 |
既存キッチンを回転させるだけなら、床の補修も含めて50万円というところですが、床を全体的に張り替えるなどリフォームの規模が大きくなれば費用は上がってしまいます。そのためプラス100万円の可能性もなきにしもあらずです。
また、対面式キッチンの中でもアイランドキッチンへの変更は、換気扇の位置変更、キッチンの左右に通路を作るなど、様々な工事が必要になるため費用が高くなります。
更に、キッチンの位置の移動に伴っては、以下のような費用が含まれることを忘れないでおきましょう。
費用項目 | 費用相場 |
床下の給排水管変更工事、電気・ガス工事 | 10万円~40万円 |
床や壁の補修工事 | 10万円~30万円 |
廃棄物処分費用 | 10万円~50万円 |
上記にある電気工事ですが、問題となるのは、最近多く使われるようになったIHの配線です。
既存配線を天井裏や床下から取り廻すことができれば、費用は抑えられますが、そうでない場合は引き直しが必要となりますので、費用は上がります。そのため金額の幅がでてきます。
マンション向けのシステムキッチンはややお値段が高くなる
システムキッチンは、マンション向けなのか、戸建て向けなのかで商品が異なります。
理由は、マンションの場合は既存配管に適合するか否かという問題があるからです。この問題を解決するために、「シンク下既存配管」対応商品がありますが、お値段が高いのがネックでした。
しかし、近年比較的リーズナブルな商品が出てきています。例えば、以下の商品は戸建て向け商品と概ね同じような価格帯を実現しています。
壁付けキッチン(パナソニック・ラクシーナ)
定価約69万円(税抜き)~
対面キッチン(パナソニック・ラクシーナ)
定価約116万円(税抜き)~
一方、戸建てに関しては、選択肢の幅は大きく広がります。低価格帯の商品から高価格帯の商品まで予算に合わせて選ぶことができます。
例えば、下記のキッチンは、パナソニック・ラクシーナの戸建て向け対面キッチンです。
お値段は、キッチン部定価93万円(税抜き)~、カップボード部約53万円(税抜き)~となります。
このように、マンションと戸建てでは商品とその価格が異なるということを念頭に置いて、予算を考えることをお勧めします。
リフォームの期間は2週間とやや長め
キッチンの向きを変える場合、キッチンの場所移動に伴い水道やガスの配管工事も発生します。
さらに床や壁紙の張り替え工事も必要になるため、工期は約2週間と長めです。
リフォーム工事中はキッチンを使用できないため、工事のタイミングと工事期間中の過ごし方を考えておく必要があります。
マンションのキッチンリフォームは制限が多く、手間とお金がかかる
戸建のリフォームと異なり、マンションのリフォームには制限が多くあります。
マンションには管理規約があり、リフォームを行うためには管理組合に申請をする必要があります。
工事の騒音防止のための制約、床材など使用素材に関する制約、搬入に関する制約など様々な制約があるので、事前に確認しておきましょう。
また、キッチンの位置変更を伴うリフォームの場合、配管工事も必要になりますが、一般的なマンションでは床下の配管スペースの問題でキッチンを配置できる場所の制限があります。
そのため、大幅な移動は難しい可能性もあります。
戸建よりもコンパクトなシステムキッチンを入れることが多いため、キッチン本体の価格は控えめでも、戸建ほどの自由がないがゆえにコストもかかる可能性があるので要注意です。
キッチンリフォーム費用はここで差が出る
キッチンリフォーム費の内訳
ご覧いただいた通り、キッチンのリフォーム費用はケースによって大きな差が出ます。
いろんな希望を叶えたいと思う一方で、できれば安く抑えたいと考えるのが消費者心理です。
リフォーム費用を抑えるためには、どんな工夫をすればいいのでしょうか。
まず、キッチンリフォーム費の内訳を知っておきましょう。
大まかに分類すると、以下の4つに分けられます。
- 新たなシステムキッチンの本体価格
- 既存キッチンの解体工事費と処分料
- 配管、電気工事費
- 内装工事費
既存キッチンをそのまま残して工事をするという選択肢もありますが、費用は本体を交換する工事とさほど変わりません。
システムキッチンの一般的な寿命は15~20年です。既存のキッチンが新品同様でないならば、新しいものに入れ替える方が良いでしょう。
内装工事費を工夫して費用を抑えることができる
ではどこを工夫すれば費用を抑えられるのでしょうか。それはズバリ内装工事費です。
この内装工事費の中にはオプションで選択可能なものも含まれています。
例えば、
- キッチンの床材
- 壁紙
- 吊り棚、収納
- コンロ周りのパネル
- 扉材や取っ手
- キッチン天板の素材
- シンクの素材
- 水栓金具や浄水器
- ガスからIHへの変更
いざリフォームとなると、あれも変えたい、ここはこうしたいといろんな希望が出てくると思います。
希望を挙げ始めるとキリがありませんが、本当にそこまでグレードの高いものが必要なのか、オプションが必要なのか、収納が必要なのかということを冷静に考えてみてください。
譲れないポイントはそのままにして、ここはまあいっかと思えるところはコストダウンに回しましょう。
それだけでリフォーム費用は多少抑えることが可能です。
どのタイプのキッチンが良い?タイプごとのメリット・デメリットは?
それでは、キッチンの向きを変えるにあたって、どのようなタイプのキッチンが良いでしょうか?ここでそれぞれのメリット・デメリットをまとめたいと思います。
①ダイニングと一体になった壁付キッチン
いわゆるDKタイプと呼ばれるものです。ダイニングと一体空間にあり、壁に沿ってキッチンが配置されています。
日本では昔の家に、海外ではダイニングとリビングがしっかりと区切られているため、多くみられるスタイルです。
近年、壁付キッチンのメリットに魅力を感じる人が増加傾向にあり、注文住宅でのオーダーやリフォーム要望も増えています。
メリット
- リビングダイニングとの間仕切りがないため、部屋全体が広く感じる
- ダイニングテーブルを作業台として活用もでき、複数人で料理をすることが出来る
- 振り向くとダイニングなので配膳がしやすい
デメリット
- リビングの中にキッチンがあるため、生活感が出やすい
- 料理のにおいや油はねがリビング全体にに広がりやすい
②ダイニングと一体になったオープン対面キッチン
アイランドキッチンや、ペニンシュラキッチンと呼ばれるキッチンがこのタイプに該当します。
どちらもリビングダイニングを見渡しやすい開放的でオシャレな印象のキッチンで、モデルルームにもよく取り入れられています。
アイランドキッチンはコンロ、シンク、調理台すべてが壁から離れた島のような形状をしています。
一方ペニンシュラキッチンは、左右のどちらかが壁に接した状態の造りです。
メリット
- 部屋全体に開放感が生まれる
- 子供の様子を見ながら炊事が出来る
- カウンター部分を活用しやすい
- 見た目がオシャレ
デメリット
- リビングからキッチン全体が常に見えるため、きれいな状態を維持する必要がある
- キッチン上部の棚はなく、収納は少ない
- 天井に直接換気扇を設置するケースが多く、設置可能な換気扇や場所が限定される
- アイランドキッチンは左右に通路が必要なため、広さが必要
③空間の一部を仕切った対面式キッチン
我が家のキッチンはこのタイプです。
オープン対面キッチンほどの開放感はありませんが、リビングダイニングとの一体感は残しつつ、シンクや調理台の手元はリビング側から見えないような造りになっています。
メリット
- 子供の様子を見ながら炊事が出来る
- 作業中の手元や片付いていないシンクは、リビングからは見えにくい
デメリット
- 確保できる面積によっては、キッチン全体が狭くなる
- 作業、調理台が狭い
- 配膳に手間がかかる
④独立空間の壁付けキッチン
上の3タイプとはだいぶカラーの違うもので、キッチンがリビングダイニングから完全に独立した部屋となっている造りです。
料理好きの方がこのタイプのキッチンを選ぶことが多いようです。
メリット
- 独立空間で料理に集中できる
- 料理のにおいや油はねが他の部屋に影響しない
- 食器棚など、収納スペースをしっかりと確保しやすい
- キッチンが散らかっていても、使う人以外見えない
デメリット
- 料理中は孤独
- 壁で囲われているため、取れる面積によっては狭く感じる
- キッチン専用の冷暖房がないと室温が調整できない
生活スタイルの変化とともに必要なキッチンも変わる
ここは私の主観もかなり織り交ぜて、日々キッチンを使う主婦目線でどんなキッチンを選ぶかをまとめてみます。
あくまで私の主観ですが、家族の年齢変化によって、使い勝手のいいキッチンは変わってくると思います。
家族の中で最もキッチンを使う機会の多い主婦目線でいうと、同じ家に住む家族構成の変化や取り巻く環境の変化によって、キッチンも変えるという選択肢があると思うのです。
小さいお子さんがいるご家庭は対面キッチンか独立キッチン
まず、小さいお子さんがいるご家庭を想定してみましょう。
我が家もそうでしたが、子供がハイハイやつかまり立ちを始めるころからキッチンは危険エリアに変わります。
子供が怪我や火傷をするリスクをシャットアウトするために、ベビーゲートは必須です。
そのため、小さい子供がいる、またはこれから子供を持つ可能性があるご家庭の場合、ベビーゲートを設置できる対面キッチンか、独立キッチンがおすすめです。
また、キッチンは子供から少し離れて一息つくのにちょうどいい場所です。私はよくキッチンに隠れて、こっそり子供には見せないおやつを食べています。
食べ盛りの学生のお子さんがいるご家庭は壁付キッチンか対面キッチン
次に食べ盛りの学生のお子さんがいるご家庭を想像してみます。
この時期になると、多くの子供たちにとって家は食事をして寝る場所です。日中は友人と遊んだり、部活をしたり、外で活動することが多くなるでしょう。
食べる量も多くなるこのころは、キッチンが手狭だと食事の準備も大変でストレスを感じる方もいらっしゃると思います。
キッチンをダイニングと一緒に広く使える壁付キッチンであれば使い勝手も良くなるでしょう。
キッチンとダイニングの間にワゴンや作業台を設置すれば、ダイニングとの間仕切りもでき、部屋の印象も変えられます。
対面キッチンもシンク奥のスペースを活用できるので、長く活躍しそうです。
お子さんが独立したご家庭は、趣味に応じたキッチンを
最後はお子さんが独立したご家庭です。
夫婦二人となると、日々の作る食事量はぐっと少なくなります。そうすると、あまり広いキッチンは必要なくなるかもしれません。
自分の趣味としてお菓子やパン作りなどに力を入れるのであれば、それをしやすい自分の快適な環境を作るのが一番です。
子供の独立や定年退職を機に、住み替えをする方も少なくありません。