マンションの間取り変更リノベーションの費用と注意点

近年、中古マンションを購入し、内部をリノベーションするという方が増加しています。

やはり

• 中古マンションは新築より安い
• 比較的安い値段で立地が良い物件を選べる
• 古いマンションでもリノベーションすることで内部を自分好みに変えられる
• それでも合計費用は新築マンションよりも安い

というメリットが大きいようです。

結果として、新居を選ぶ際の選択肢として地位を確立しつつあります。

一方、戸建て住宅と違って、構造上の制約が大きく、リノベーションの大きな一要素である間取りの変更の可否はマンションならでは問題点としてあります。

このページではマンションの間取りを変更するリノベーションの費用相場と、マンションならではの注意点をご紹介します。

マンションの間取り変更リノベーションにかかる費用総額相場

まず、リノベーション工事全体の総額相場を見てみましょう。

室内を構造や骨組みの状態にしてから行うスケルトンリノベーションの場合、施工面積にもよりますが、総額は250～1,000万円、1㎡あたりで換算すると、10～22万円程度が相場です。

スケルトンリノベーションでない場合でも、間取り変更のリノベーション全体では、200～900万円程度の予算を想定しておくと良いでしょう。

マンションの間取り変更リノベーションにかかる部分別費用

では次に、リノベーション箇所ごとの相場をご紹介します。

リノベーション費用を大きく左右するのは、内装材や設備グレードです。

どこにどの程度の費用が掛かるのかをあらかじめ把握しておきましょう。

壁の追加・撤去

間取り変更のリノベーションの場合、間仕切り壁の追加や撤去工事は必ず発生し、

1. 間仕切り壁の撤去…7～23万円
2. 間仕切り壁の設置…8～25万円程度

の費用がかかります。

間仕切り壁を撤去してリビングを拡張する工事の場合、トータルの費用相場は40～90万円程度です。

内装工事

居住者にとって最も重要と言っても過言ではない内装工事ですが、概ね以下の費用が相場となっています。

• 壁紙クロスの張り替え…1㎡あたり1,200～1,500円
• フローリング張り替え…15～40万円
• 和室・洋室（1部屋分のリフォーム）総額…20～50万円

フローリングやクロスも商品によってランクがあります。

防音性などの機能が優れたものなどは価格もその分高くなるため、あらかじめ認識しておきましょう。

また、近年リビングに隣接した小さな和室を設けるご家庭が多い傾向がありますが、小上がりの和（4.5畳）を新設する工事には最低でも30万円程度を見積もっておいてください。

水周りの移動

家事導線をスムーズにするために、リノベーションをする際に水周りの移動を検討する人は多いです。

ただし、水周りの移動は費用が高額になります。

水周りを移動させる場合、水道、換気、電機など様々な配管移動の工事が発生する上に、システムキッチンやユニットバスなどの設備も選ぶグレードによってかなり費用が掛かるので、予算の割り振りの参考にしてみてください。

• システムキッチン移動＆新設…100～300万円
• 浴室の移動＆新設…100～350万円
• 洗面所の移動＆新設…30～60万円
• トイレの移動＆新設…30～60万円

マンションで間取り変更リノベーションをする際の注意点

マンションのリノベーションと戸建のリノベーションの大きな違いは、自由度の高さです。

残念ながら、マンションの場合は自由度があまり高くありません。

特に間取りを変えるリノベーションは、施工できる範囲が限られることも多いため、以下のポイントに注意しましょう。

マンションの管理規約に注意

マンションには管理組合が定めた管理規約があります。

リフォームやリノベーションを実施する場合、事前に管理組合に申請し、管理規約に反していないか確認、承認を受ける必要があります。

内容は主に、水周りの移動や、遮音性を維持するために床材の指定をしているケースが多いです。

天然の無垢材を床材として使いたいと考えていても、管理規約を満たさなければ施工は不可となります。

また、配水管の勾配を確保する必要があるため、水周りの　大幅な移動も制限される可能性が高いと認識しておきましょう。

詳細については居住するマンションの管理組合、これから中古マンションを購入予定の方は不動産会社に依頼して管理組合に確認することをおすすめします。

マンションの構造によって間取り変更の自由度は変わる

マンションの構造は、「壁式構造」と「ラーメン構造」の2つに分けられます。

• 「壁式構造」…建物を壁で支える構造
• 「ラーメン構造」…建物を柱と梁で支える構造

間取りを変えるリノベーションの場合、壁を撤去する工事が発生することがほとんどです。

しかし壁で建物を支えている「壁式構造」の建物は、壁を撤去すると建物自体のバランスを崩す原因になるため、撤去したい壁を撤去できないということが起こる可能性があります。

RC造、SRC造の建物の場合、物件検討段階から「壁式構造」か「ラーメン構造」か事前に確認してプランを進めることをおすすめします。

手を入れられるのは専有部分のみ

マンションには物件保有者が持つ専有部分の他に、共用部分というものがあります。

一見自宅の専有部分と思われがちですが、玄関ドアや窓、バルコニーや庭、構造部分の壁や柱、床や梁も共有部分です。

リノベーションを自由にしていいのは、専有部分のみです。共有部分は基本的に変えることはできませんので、注意しましょう。

まとめ

まとめます。

• マンションの間取り変更リノベーションの費用相場は、総額200～1,000万円程度
• 工事個所によって、費用は大きく変わる
• 水周りの移動を含む間取り変更は、費用が高額になる傾向あり
• マンションは戸建よりもリノベーションの自由度が低い

戸建よりも自由度は高くないとしても、マンションのリノベーション事例には魅力的なものが多く存在します。

新築マンションよりも費用を抑えられるため、今後家を買う人にとって有効な選択肢としてさらにメジャーになっていくでしょう。

業者を選ぶ際には、中古マンションのリノベーション実績を多く持つ業者を選び、自分の希望がどこまで実現可能か確認してみましょう。